FXは元本や利益が保証される取引ではありません。金融庁などの公的情報と各社の契約締結前交付書面を確認し、仕組みとリスクを理解したうえで判断してください。
FXの解説記事や取引ツールで「SL」という表記を見かけて、「どういう意味なのかわからない」「TPやロスカットとは何が違うのか」と疑問に思った方も少なくないのではないでしょうか。
SLとは「ストップロス(Stop Loss)」の略で、日本語では損切り注文を意味します。
あらかじめ決めた価格に達したら自動的にポジションを決済し、損失の拡大を防ぐための注文で、FXで資金を守りながら取引を続けるうえで欠かせない仕組みです。
特にMT4・MT5といった取引ツールや海外のFX情報では、SLという表記が標準的に使われるため、意味を正しく理解しておくと学習や取引がスムーズになります。
一方で、SLはどの水準に設定すればよいのか、設定するとどのように執行されるのかといった点は、初心者の方がつまずきやすいポイントでもあります。
この記事では、FXのSLの意味から、TP・ロスカットとの違い、執行の仕組み、設定目安の決め方、MT4・MT5での設定方法、注意点までをわかりやすく解説します。
損失を抑えた計画的な取引を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
FXのSLとは?ストップロス(損切り)の意味を解説

FXにおけるSLとは、ストップロス(Stop Loss)の略称で、日本語では「損切り」または「損切り注文」を意味します。
具体的には、保有しているポジションに対して「ここまで不利な方向に動いたら決済する」という価格をあらかじめ指定しておき、その価格に達したら自動的に決済される注文のことです。
例えば、1米ドル=150円で買いポジションを持ったときに、「149円まで下がったら損失を確定して撤退する」と決め、149円にSLを設定しておくとします。
実際にレートが149円まで下がれば自動で決済され、損失はその水準でとどまります。
つまりSLは、1回の取引で発生し得る損失の上限を、自分であらかじめ決めておくための仕組みといえます。
SLという表記は、MT4・MT5(メタトレーダー)と呼ばれる世界的に普及している取引ツールや、海外のFX情報で標準的に使われています。
注文画面の「S/L」という入力欄は、このストップロスの価格を指定する項目です。
国内のFX会社では「逆指値注文」や「ストップ注文」と呼ばれることが一般的ですが、指している仕組みは基本的に同じものと考えてよいでしょう。
FXはレバレッジ(預けた資金の何倍もの金額を取引できる仕組み)により、相場が想定と逆に動いたときの損失も大きくなりやすい取引です。
だからこそ、損失を一定の範囲で食い止めるSLは、利益を狙う技術以上に重要な、資金を守るための基本といわれています。
本記事では、SLと混同しやすい用語の違いから設定方法、注意点までを順番に解説していきます。まずは、似た用語との違いを整理しましょう。
SLと混同しやすい用語との違い

SLの周辺には、TPやロスカットなど似た場面で使われる用語がいくつかあります。
それぞれの意味と役割の違いを整理しておくと、取引ツールの表示や解説記事を正しく読み取れるようになります。
TP(テイクプロフィット)との違い
TPとはテイクプロフィット(Take Profit)の略で、日本語では「利益確定注文」を意味します。
「ここまで有利な方向に動いたら決済して利益を確定する」という価格を指定する注文で、SLとは決済する方向が正反対です。
例えば、150円の買いポジションに対して、152円にTP、149円にSLを設定したとします。
レートが152円に達すれば利益が確定し、149円に達すれば損失が限定されるという形で、TPは利益の出口、SLは損失の出口を担います。
MT4・MT5の注文画面では「T/P」と「S/L」の入力欄が並んでおり、両方を設定すれば取引の出口を事前に固定できます。SLとTPはセットで考えるのが基本です。
ロスカットとの違い
ロスカットとは、損失が一定の水準まで拡大したときに、FX会社が強制的にポジションを決済する仕組みです。
口座の資金と取引量のバランスを示す証拠金維持率が、会社の定める水準を下回ると執行されます。
SLとの大きな違いは、「誰が決めるか」です。
SLは取引者自身が任意の価格に設定する自発的な損切りであるのに対し、ロスカットは取引者の意思に関係なく執行される強制的な決済です。
ロスカットは資金の大部分を失った段階で発動する最後の安全装置であり、頼るべきものではありません。
ロスカットに至る前に、自分で決めたSLで損失を小さく抑えることが、本来あるべきリスク管理の形といえます。
建値SL(建値ストップ)との違い
建値SLとは、SLの応用的な使い方の一つで、SLの価格を建値(エントリーした価格)まで移動させることを指します。
例えば、150円で買ったポジションに含み益が出てきた段階で、当初149円に置いていたSLを150円(建値)へ引き上げるという操作です。
こうしておけば、その後相場が反落しても、決済されるのはエントリー価格付近となり、その取引の損失リスクを大幅に抑えられます(スプレッドやスリッページの影響は残ります)。
つまり建値SLは、SLとは別の注文があるわけではなく、「利益を守るためにSLの位置を動かす手法」の呼び名です。
含み益を損失に変えたくない場面で使われる、覚えておくと役立つテクニックといえるでしょう。
SL注文が執行される仕組み

SLを正しく使うには、注文がどのように執行されるのか、その仕組みを理解しておくことが欠かせません。
SLは、注文方法としては「逆指値注文(ストップ注文)」にあたります。
現在のレートよりも不利な側の価格を指定しておき、レートがその価格に到達した時点で注文が発動する仕組みです。
買いポジションの場合は現在より低い価格に、売りポジションの場合は現在より高い価格にSLを置くことになります。
ここで重要なのは、多くのFX会社やMT4・MT5において、SLは「指定価格に到達したら、成行注文として執行される」のが一般的だという点です。
成行注文はその時点の市場のレートで約定するため、指定した価格と実際の約定価格の間に、ずれが生じることがあります。
このずれはスリッページと呼ばれ、通常の相場ではわずかな差にとどまることが多いものの、値動きの激しい場面では差が大きくなる可能性があります。
つまり、SLは「指定価格で必ず決済される注文」ではなく、「指定価格に達したことをきっかけに決済が実行される注文」と理解しておく必要があります。
例えば、149円にSLを置いた買いポジションがあるとします。
レートが緩やかに下がって149円に達した場合は、ほぼ指定どおりの価格で決済されることが期待できます。
一方、重大なニュースで相場が急落し、149円を一気に飛び越えて148.50円まで下がった場合、SLは148.50円付近で執行され、想定より損失が大きくなることがあります。
このような特性があるとはいえ、SLを設定しておけば、損失を放置した場合と比べて被害をはるかに小さく抑えやすいことに変わりはありません。
仕組み上の限界を理解したうえで活用することが、SLと正しく付き合うための前提となります。
FXでSL(ストップロス)が重要な理由

SLの設定は、FXで長く取引を続けるための土台といわれます。
なぜそこまで重視されるのか、理由を3つの観点から解説します。
損失の拡大を防げる
SLの直接的な役割は、損失の拡大を防ぐことです。
FXの相場は、ときに想定をはるかに超えて一方向に動きます。SLを設定していれば、どれだけ相場が逆行しても、損失はおおむね指定した水準までにとどまります。
FXはレバレッジの仕組み上、損失の拡大スピードも速くなりがちです。
「少し様子を見よう」と放置している間に含み損が倍増する、というのは珍しいことではありません。
1回の取引の最大損失をあらかじめ確定させておくことで、想定外の事態が起きても致命傷を避けやすくなります。SLは、取引における保険のような存在といえるでしょう。
感情に左右されない取引ができる
SLには、感情的な判断を排除できるという大きな利点があります。
含み損を抱えると、人は「もう少し待てば戻るはず」と考えて損切りを先送りしがちです。これは意志の弱さというより、損失の確定を避けたいという人間に共通する心理傾向によるものとされています。
エントリーと同時にSLを設定しておけば、決済の判断はシステムが自動で実行してくれるため、迷いや希望的観測が入り込む余地がなくなります。
相場が動く前の冷静な状態で決めた基準を、相場が動いた後も機械的に守れることが、SLを使う本質的な価値です。
「ルールを守る」のではなく「ルールが自動で実行される」状態を作れる点で、初心者の方ほど恩恵が大きい仕組みといえます。
資金を守り取引を続けられる
SLは、取引資金を守り、相場に残り続けるための手段でもあります。
FXの上達には経験の積み重ねが欠かせませんが、その前提となるのは「資金が残っていること」です。
1回の大きな損失で資金の大半を失えば、学んだことを活かす機会そのものがなくなってしまいます。
例えば、1回の損失を資金の2%に抑えるルールでSLを設定していれば、仮に連敗が続いても資金は緩やかにしか減らず、立て直しの余地が残ります。
損失を小さく刻みながら経験を積み、手法を改善していくサイクルを回せることこそ、SLがもたらす長期的な価値です。
「大きく勝つこと」より「退場しないこと」を優先する発想が、結果的に上達への近道になります。
SLを設定しないとどうなる?

「SLを設定すると損切りばかりになりそうで、もったいない」と感じる初心者の方は少なくありません。
しかし、SLを設定しない取引には、それを上回る深刻なリスクが潜んでいます。
まず起こりやすいのが、含み損の放置による損失の際限ない拡大です。
SLがない状態で相場が逆行すると、「戻るまで待とう」という心理が働き、含み損のポジションを抱え続けることになりがちです。
いわゆる塩漬けと呼ばれる状態で、資金が拘束されて身動きが取れなくなるうえ、相場がさらに逆行すれば損失は膨らみ続けます。
次に待っているのが、ロスカットによる大きな損失の確定です。
含み損が拡大して証拠金維持率がFX会社の定める水準を下回ると、ポジションは強制的に決済されます。
ロスカットは資金の大部分を失った段階で発動するため、SLで早めに損切りした場合と比べて、損失額は格段に大きくなるのが通常です。
さらに深刻なのは、相場の急変時にロスカットすら間に合わないケースです。
週末をまたいだ窓開け(取引再開時にレートが大きく飛ぶ現象)や、突発的なニュースによる急変動では、決済が追いつかず、預けた資金以上の損失が発生して追加入金(いわゆる追証)を求められる可能性もあります。
精神面への影響も見逃せません。
大きな含み損を抱えている間は、相場が気になって仕事や生活に集中できず、冷静な判断力も失われていきます。
損失を取り返そうと無謀な取引に走り、さらに傷を深めるという悪循環は、SLを設定しない取引の典型的な末路といえます。
SLによる小さな損失は、こうした事態を避けるための必要経費です。「損切りはコスト、塩漬けは命取り」という意識を持つことが、資金を守る第一歩になります。
どれも決済に関係しますが、目的と決める主体が異なります。
1SL
自分で決める損切り注文
2TP
自分で決める利益確定注文
3ロスカット
FX会社が基準に従い強制決済
SLの設定目安とルールの決め方

SLの重要性を理解したら、次の課題は「どこに設定するか」です。
決め方には複数のアプローチがあり、それぞれに特徴があります。代表的な3つの方法を紹介しますので、自分が迷わず実行できる基準を選ぶ参考にしてください。
損失額や損失率で決める
特にシンプルなのが、損失額や損失率を基準にする方法です。
「1回の取引の損失は5,000円まで」「口座資金の2%まで」というように、許容できる損失をあらかじめ決め、そこから逆算してSLの価格を設定します。
広く知られている目安は、1回の損失を口座資金の1〜2%程度に抑える考え方です。
例えば資金30万円で2%なら、許容損失は6,000円となります。取引数量が1万通貨であれば、60pips(0.6円)逆行した位置がSLの目安という計算です。
この方法は資金管理と直結しており、連敗時の資金の減り方も予測できるため、初心者の方が最初に取り入れる基準として適しています。
値幅(pips)で決める
pips(ピップス)とは、FXの値動きを表す共通単位で、米ドル/円などでは1pips=0.01円(1銭)にあたります。
「エントリーから20pips逆行したらSL」というように、値幅を固定して設定するのがこの方法です。
値幅基準の利点は、注文時に迷わず設定でき、利益確定幅とのバランス(リスクリワードレシオ)を管理しやすいことです。
例えば、SLを20pips、TPを40pipsに固定すれば、損益比1:2の取引を機械的に続けられます。
注意点として、適切な値幅は通貨ペアや時間帯、トレードスタイルによって異なります。
数分で決済する短期取引と数日持つ取引では、必要なSL幅がまったく違うため、自分のスタイルに合った現実的な幅を検証しながら調整しましょう。
テクニカル分析で決める
チャートの形状を根拠にSLの位置を決めるのが、テクニカル分析による方法です。
代表的なのは、直近の安値・高値や、支持線・抵抗線(価格が反発しやすい水準の目安)を基準にする考え方です。
例えば、買いでエントリーした場合、「直近の安値を割り込んだら上昇シナリオが崩れた」と判断できるため、その少し下にSLを置きます。
相場の構造に基づいた位置のため、根拠のある損切りができ、「損切りした直後に反発する」場面をある程度減らせる可能性があります。
一方で、チャート分析の知識が必要で、基準の引き方に個人差が出やすい方法でもあります。
初心者の方は損失率や値幅を主軸にしつつ、チャートの節目を補助的に確認する形から始めると、無理なく取り入れられるでしょう。
初心者向け:fx slとはの考え方
注文と同時にSLを決める
価格がSLへ達する
自動決済で損失を限定
左から順に確認すると、判断の流れを整理できます。
SLの設定に使える注文方法

SLを実際に設定する際は、FXの注文機能を活用します。
ここでは、SLの設定に使える代表的な4つの注文方法と、それぞれの活用場面を解説します。
逆指値注文
SLの基本的な設定方法は、逆指値注文です。
逆指値注文とは、現在のレートより不利な価格を指定し、その価格に達したら執行される注文のことで、SL(ストップロス)はこの注文を損切りに使った呼び名といえます。
保有中の買いポジションに対して、現在より低い価格に売りの逆指値を入れておけば、その価格に達した時点で自動的に決済されます。
すでにポジションを持っている場合は、決済注文として後から追加することも可能です。
ただし、後から設定する方式では「入れ忘れ」が起こりがちです。エントリーと同時にSLを設定する習慣をつけることが、着実な運用につながります。
OCO注文
OCO注文とは、2つの注文を同時に出し、一方が約定したらもう一方が自動でキャンセルされる注文方法です。
SLの設定では、損切りの逆指値と利益確定の指値をセットで予約する形で使います。
例えば、150円の買いポジションに対して、149円にSL、152円にTPをOCOで設定しておけば、どちらかに到達した時点で決済が完了し、残った注文は取り消されます。
損失の出口と利益の出口を同時に管理できるため、チャートを見られない時間が長い方には特に有効です。
「ポジションを持ったら必ずOCOを入れる」と決めておくだけで、出口管理の漏れを防ぎやすくなります。
IFD注文
IFD注文とは、新規注文と決済注文をセットで予約できる注文方法です。
新規注文が約定したときに、あらかじめ設定しておいた決済注文が自動で有効になる仕組みで、エントリー前からSLを組み込めるのが特長です。
例えば、「149円まで下がったら買い、その後148円まで下がったら損切りする」という計画を、1回の発注で完結できます。
エントリーの瞬間からSLが有効になるため、「設定する前に急変動が起きた」というリスクを避けられます。
さらに、IFDにOCOを組み合わせたIFO注文を使えば、エントリー・SL・TPの3つの価格を一度に予約でき、計画的な取引を徹底しやすくなります。
トレール注文
トレール注文とは、レートの動きに合わせてSLの価格が自動で追従する注文方法です。
例えば買いポジションの場合、レートが上昇するのに合わせて、SLも一定の値幅を保ったまま自動的に切り上がっていきます。
レートが反落して切り上がったSLに達すると決済されるため、「損失を限定しながら、利益はできるだけ伸ばす」という運用が可能になります。
前述した建値SLを、手動ではなく自動で行うイメージに近い機能です。
トレンドが続く相場では有効に働きやすい一方、細かく上下する相場では早めに決済されやすい傾向があります。基本のSL運用に慣れてから、応用として取り入れるとよいでしょう。
MT4・MT5でSLを設定する方法


世界的に利用されている取引ツールのMT4・MT5(メタトレーダー)では、注文画面の「S/L」欄でストップロスを設定します。
ここでは、それぞれの基本的な設定手順を解説します。なお、画面構成はバージョンや利用するFX会社によって異なる場合があるため、細部は実際の環境で確認してください。
MT4での設定手順
MT4で新規注文と同時にSLを設定する場合は、注文画面を開き、「決済逆指値(S/L)」の欄に損切りしたい価格を入力してから発注します。
買い注文なら現在のレートより低い価格、売り注文なら高い価格を入力する形です。
すでに保有しているポジションに後からSLを設定する場合は、ターミナル(取引画面下部)のポジション一覧から対象のポジションを右クリックし、「注文の変更または取り消し」を選択します。
表示された画面のS/L欄に価格を入力し、変更ボタンを押せば設定完了です。
また、チャート上に表示されるポジションのラインをドラッグして、SLの位置を直感的に動かせる操作に対応している場合もあります。
設定後は、ポジション一覧のS/L欄に価格が表示されているかを必ず確認しましょう。
MT5での設定手順
MT5での設定手順も、基本的な流れはMT4と共通です。
新規注文の画面で「ストップロス(S/L)」の欄に価格を入力して発注すれば、エントリーと同時にSLが有効になります。
保有中のポジションに後から設定する場合は、ツールボックス(取引タブ)のポジションをダブルクリックまたは右クリックして「ポジション変更」を開き、S/L欄に価格を入力します。
MT5では、チャート上のラインをドラッグしてSLを調整できる操作や、価格ではなくポイント数で指定できる機能に対応している場合もあり、慣れると素早く設定できます。
いずれのツールでも、現在のレートに近すぎる価格は設定できない(ストップレベルと呼ばれる制限)場合があります。
エラーになったときは、指定価格を少し離して再設定してみましょう。
SLを設定する際の注意点

SLは資金を守る強力な仕組みですが、万能ではありません。
仕組み上の限界や、運用面で陥りやすい落とし穴を理解しておくことで、SLをより効果的に活用できます。4つの注意点を確認しましょう。
スリッページで指定価格とずれる場合がある
前述のとおり、SLは指定価格に到達した時点で成行注文として執行されるのが一般的なため、スリッページ(指定価格と約定価格のずれ)が発生する場合があります。
通常の相場環境ではずれは小さいことが多いものの、値動きの激しい場面や市場参加者の少ない時間帯では、想定より不利な価格で約定する可能性があります。
このため、SLの位置を決める際は、「指定価格ぴったりで決済される」前提ではなく、多少のずれを見込んだ資金管理をしておくと安心材料になります。
ぎりぎりの資金で取引していると、わずかなスリッページでも想定を超える損失になりかねません。
資金には余裕を持たせることが、スリッページへの現実的な備えといえます。
重要指標の発表前後は値が飛びやすい
米国の雇用統計や各国の政策金利発表といった重要な経済指標の前後は、レートが一瞬で大きく動き、価格が飛ぶように変動することがあります。
このような場面では、SLの指定価格を飛び越えてレートが動き、大きくずれた価格で約定するリスクが高まります。
週末をまたいだ持ち越しでも、月曜の取引開始時に窓開け(終値と始値が大きく離れる現象)が起こると、同様のことが発生し得ます。
対策としては、重要指標の発表前にポジションを決済または縮小しておく、週をまたぐポジションを控えるといった、イベントを意識した立ち回りが有効です。
経済指標カレンダーを確認する習慣をつけ、値が飛びやすいタイミングを避ける意識を持ちましょう。
損切り貧乏にならないよう幅を調整する
損切り貧乏とは、SLの幅が狭すぎるために、わずかな値動きで損切りが連発し、小さな損失が積み重なって資金が減っていく状態を指す俗称です。
損失を恐れてSLを現在のレートに近づけすぎると、相場の通常の上下動(ノイズ)に引っかかり、本来なら利益になったはずの取引まで損切りで終わってしまいます。
対策は、取引する通貨ペアと時間軸の平均的な値動きを踏まえて、ノイズに耐えられる現実的な幅を取ることです。
そのうえで、SL幅に応じて取引数量を減らせば、許容損失額は一定に保てます。
「幅を狭くする」のではなく「数量で損失をコントロールする」という発想を持つと、損切り貧乏を避けやすくなるでしょう。
決めたSLを感情で動かさない
SLの運用で避けたいのが、含み損が膨らむ過程でSLを不利な方向へ動かすことです。
「もう少し待てば戻るかもしれない」という気持ちから、149円に置いたSLを148円、147円と下げていけば、SLを設定した意味はなくなり、損失は拡大する一方になります。
これはSLの変更ではなく、実質的なルール違反です。
一方、利益が出ている方向への変更、つまり建値SLやトレールのようにSLを有利な側へ動かすことは、利益を守る合理的な調整といえます。
「SLは有利な方向にしか動かさない」という原則を自分に課しておくと、判断に迷いがなくなります。
エントリー前の冷静な自分が決めた水準を信じて、相場の最中は手を加えないことを徹底しましょう。
値幅だけでなく、相場の形と許容損失を組み合わせます。
1価格の節目
直近高値・安値など
2許容損失
口座資金の何%までか
3値動きの大きさ
通常の揺れで狩られない幅
4注文量を調整
SLまでの幅から数量を逆算
FXのSLに関するよくある質問

ここでは、SLについて初心者の方からよく寄せられる疑問を取り上げます。
用語の理解と運用の迷いを、ここで整理しておきましょう。
ストップ狩りとは何ですか?
ストップ狩りとは、多くの取引者がSL(ストップ)を置きやすい価格帯を狙うかのようにレートが一時的に動き、損切りを巻き込んでから反転する値動きを指す俗称です。
直近の安値や高値、キリのよい価格の少し外側はSLが集中しやすく、その水準を抜けた瞬間に決済注文が連鎖して値が走りやすい、と説明されることがあります。
大口の参加者が意図的に行っているとする見方もありますが、実際の真偽を個人が確かめることは難しく、相場にはそうした動きが起こり得る、という理解で十分です。
対策としては、誰もが意識する水準のすぐ外側ではなく、少し余裕を持たせた位置にSLを置くこと、損切りされても許容損失の範囲に収まる数量で取引することが挙げられます。
ストップ狩りを恐れてSLを置かないのは本末転倒のため、避けましょう。
SLは必ず設定すべきですか?
初心者の方のうちは、必ず設定することを強くおすすめします。
SLを置かない取引は、含み損の放置からロスカット、場合によっては預けた資金以上の損失へとつながりやすく、初心者の方が大きな失敗をする典型的なパターンだからです。
経験豊富な取引者のなかには、相場を常に監視できる環境で裁量の損切りを行う方もいますが、それは厳格な自己規律と経験があってこそ成り立つスタイルです。
チャートを見続けられない方や、損切りをためらってしまう自覚がある方ほど、SLによる自動化の恩恵は大きくなります。
「エントリーと同時にSLを入れる」を例外のないルールにすることが、資金を守る有効な方法といえるでしょう。
TPもあわせて設定すべきですか?
SLとあわせて、TP(利益確定注文)も設定しておくことをおすすめします。
SLだけでは損失の出口しか決まっておらず、利益が出たときに「もっと伸びるはず」と欲が出て、決済のタイミングを逃しがちだからです。
TPをあわせて設定すれば、損益の比率(リスクリワードレシオ)を取引前に固定できます。
例えば、SLを20pips、TPを40pipsに設定すれば、損益比1:2の取引となり、勝率とのバランスでトータルの成績を管理しやすくなります。
OCO注文やIFO注文を使えば、SLとTPを同時に予約できます。
エントリー・損切り・利益確定の3点をセットで決めてから取引する習慣が、計画的なトレードへの近道になるでしょう。
まとめ:SLを正しく設定して損失を抑えた取引をしよう

FXのSLとは、ストップロス(Stop Loss)の略で、あらかじめ指定した価格に達したら自動的にポジションを決済し、損失の拡大を防ぐ損切り注文のことです。
利益確定を担うTP、FX会社が強制執行するロスカットとは役割が異なり、SLは取引者自身が任意に設定する、自発的なリスク管理の手段といえます。
SLを設定すれば、損失の上限をあらかじめ決められるだけでなく、感情に左右されない機械的な損切りが可能になり、資金を守りながら経験を積み続けられます。
反対にSLを設定しない取引は、含み損の放置からロスカット、急変時には資金以上の損失へとつながりかねません。
設定の目安は、損失額・損失率(資金の1〜2%程度)、値幅(pips)、テクニカル分析の3つのアプローチから、自分が迷わず実行できる基準を選びましょう。
設定には逆指値注文を基本に、OCO・IFD・トレールといった注文方法や、MT4・MT5のS/L欄を活用できます。
運用面では、スリッページや重要指標前後の値飛びといった仕組み上の限界を理解したうえで、損切り貧乏を避ける幅の調整と、「SLを不利な方向へ動かさない」という原則の徹底が欠かせません。
FXはレバレッジにより損失が拡大し得る取引だからこそ、利益の狙い方より先に、損失の抑え方を身につけることが上達への近道です。
エントリーと同時にSLを設定し、できればTPもセットで予約する。
このシンプルな習慣を例外なく続けることが、相場で長く学び続けるための土台になります。本記事を参考に、SLを正しく活用した計画的な取引を始めてみてください。
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参考文献



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